第5回 陽明門と逆さ柱

日光東照宮の陽明門の「逆さ柱」をご存知でしょうか?陽明門は東照宮の本殿前に構える門です。門の中心の上には北極星があります。何とも神秘的ではありますが、それも当時設計されたものなんです。まずその設計について話すと、江戸を守るために江戸の北にある日光に造営し、死後も日を照らし続けるという家康の遺言から始まりました。神として鎮座し平和のための役割を務めるとしたわけです。どれだけ考えたらそういう発想になるのかわかりません。多くの人々が混乱のない世の中をつくっていくためには、権力と神が必要だった。当時のお話です。そして身なき後にも自分でその役割を担うと決めたわけです。ただその後の江戸の繁栄を考えれば、確かにそれは良かったことなんではないでしょうか。そして今でも日本の国の誇りとして世界の人々を魅了しています。戦国の世は、それ以来現代においても過去の事になっていきました。
話を戻しますと、その東照宮の本殿を隠すかのように立つ陽明門。その陽明門は東照宮の顔です。その門の柱の一本だけが逆さに立っています。逆さ柱のお話しは修学旅行などで行った際にきいたことがあるかとおもいます。逆さというのは彫刻の柄が逆になっているんです。間違っちゃった!と思えなくもないわけですが、それは絶対にありません。造営には現代では想像できないほどの人々と陽明門に関わる職人さんは今でいう国家の中枢仕事をトップシークレットで行う集団です。宮大工の技術は口伝で伝わりその技術ノウハウは表に出回っていません。彫刻彫師もです。滋賀県に拠点を置いていた甲良家という集団です。現代に例えるならば、アメリカのロッキードマーチン、あるいはボーイング、GEみたいな会社だと思ってください。あえてアメリカで例えましたが。逆さ柱は間違えたわけではなくあえてそうしています。「完成は崩壊の始まり」これは、中国から伝わった言葉で、「画竜点睛を欠く」という言葉があります。中国の歴史は古く紀元前から文字を竹の棒に刻んで政治の記録を残していたという事実を認識いただければと思います。
2022年01月17日 カテゴリー: コーポレートステートメント
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